POG用 種牡馬別血統分析 【エピファネイア編】
エピファネイア
母:シーザリオ
BMS:スペシャルウィーク
傾向
血統内に流行となる血をそれなりに(Mr.Prospector以外を)多く含み、その位置配置によっては主導勢力が不明確となる可能性がある。
産駒の傾向として、日本で流行の血が多く含まれる繁殖牝馬を相手にするとややスピードが優った産駒を出す事が多そうだが、母方の血次第でクラシックディスタンスをこなす底力のある産駒も出てきそう。
エピファネイアの父母両方に弱点が派生しやすい血の配置であるのが、エピファネイア産駒の難しい所のように思う。そのバランスの悪さを母方の血で補う事が出来れば、大物を出す下地はあるのではないか。
単純に弱点を補いつつ勝ち上がれる可能性を探るなら、サンデーサイレンスのクロスを作ればいいのだが、それだけでは勝ち上がる事は出来ても上のクラスで勝ち負けするような良質の産駒は生まれないように感じる。
現在の繁殖牝馬に多い組み合わせから、ただ勝ち上がり目的だけで選ぶならば、母親の父がキングカメハメハでそのBMSがサンデーサイレンスの繁殖牝馬の仔を選べば問題は然程ない。
だが、上のクラスで活躍する馬を探すとなると、距離的にも能力的にも限界が生じる可能性が高い。
エピファネイアと相性の良いBMSの血を探すのにも一苦労するが、血統内に流行の血を多く含むだけに逆に言えば絶対的に合わない血を探す方が難しく、ジャストフィットする血を探すのが困難なだけ。それ故に、今一歩足りない産駒が多く出そうな気がする。まず合わないのは、最近増えてきたドイツ系の血を持つ繁殖牝馬とは、かなり相性が悪いと思われる。サンデーサイレンスの血をクロスさせられるマンハッタンカフェが、ドイツ系の血を持つ馬の中でもどうにかギリギリで推奨可能ではあるが、正直それでもオススメは出来ない。
BMSだけで選ぶなら、その血を持つ繁殖牝馬の絶対数が少ないが、父がゼンノエルシドの繁殖牝馬との相性は、比較的良いと思われる。母方で余計な血を全面でクロスさせなければ、ロックオブジブラルタルを父に持つ繁殖牝馬も悪くない。
そのぐらいBMSだけを見て繁殖牝馬を探すのも難しい種牡馬なので、逆に特定の血を含む繁殖牝馬を探し、その中からバランスを崩さない位置配置をしている馬を探す方が、良馬を探す近道かもしれない。
そんなエピファネイアと相性が一番いいと思われる血は「Assert」。
但し、母馬の全体の血の配置にも依るが、血統内で4~5代目ぐらいの位置にある事が望ましい。6代目以降だとその相性の良さは薄れ、3代目だと他の血の位置配置によってはバランスを欠く可能性が生じる事は、念頭に置いておきたい。
このAssertの血が血統内の4~5代目にあるだけで、エピファネイアとの配合で弱点や欠陥が生じる可能性を大きく防ぐ事が出来る。その際には、PrincequilloかPrince Roseの血を含んでいる事も、血統内で弱点の派生を防ぐ条件の一つとなる。
Assertの父Be My Guestとの血の相性もかなり優れてはいるが、その際はAssertと同様に母の血統内にPrincequilloかPrince Roseの血を含んでいる事の他に、「Le Fabuleuxかその父Wild Risk」を持っている繁殖牝馬を選びたい。若しくは「Dante=Sayajirao」の血でもOK。
産駒のスタミナを確保するには、先に述べた「Le Fabuleux」をクロスさせたり、日本的な血で言えば「セントクレスピン」をクロスさせるのも、有効かと思われる。
一番手っ取り早いのはPrincequilloをクロスさせる事なのだが、Princequillo内のPapyrus-TraceryやGay Crusader-Bayardoが最近の繁殖牝馬の血統内では10代以降にある事が多く、クロス馬効果が見込めなくなる可能性が高く、Princequilloの血を生かすのも難しくなる可能性が高い。逆に言えば、繁殖牝馬の血統内の9代目までにPrincequillo内以外からPapyrus-TraceryやGay Crusader-Bayardoの血を一つでも含んでいればその効果は見込めるので、そうした馬がいたらクロス馬効果が見込めスタミナ面の心配はより少なくなるかと思われる。一番単純で高い効果が見込めるのは、母内6代目(母単独での血統内なら5代目)にHyperionの血を持つ馬だと、クロス馬としてHyperionも能力参加を果たすため血の結合も良好となるので、より確実な効果が期待出来そう。
最後に「主導勢力」となる血を選ぶ問題だが、先に述べたようにエピファネイアの血統内には流行の血が多く含まれている為、全面に出す血は出来れば明確にさせておきたいところ。
エピファネイア内の血で言えば、Roberto・サンデーサイレンス・Sadler's Wellsあたりをクロスさせて、そこに血を集結させる形態を作れるのが理想か。
勿論、先に挙げたその3頭の父の血とかを母方の血で前面に出し血を集合させる形態でもOKかと。その際にどちらのケースであっても問題となるのは、それらの血を複数同じ位置でクロスさせてしまい、主導勢力が不明確となる事。その点だけは、気を付けておきたい。
特にサンデーサイレンスを持つ繁殖牝馬の血統内に、サンデーサイレンス以外にHaloの血を持つ繁殖牝馬であれば、必然的にサンデーサイレンスが系列ぐるみのクロスとなるので、主導勢力を明確化させやすくなるかと思うので、オススメ。
2017年生産駒 血統構成的有力馬
ヒバリ ♀
母:エトピリカ
BMS:キングカメハメハ
厩舎:加用正
馬主:協栄
先に紹介した繁殖牝馬の父がキングカメハメハでそのBMSがサンデーサイレンスとなる繁殖牝馬の中で、一番いいと思われる馬がこのヒバリです。
キングカメハメハの血統内にSayajirao=DanteとOwen Tudorが含まれており、エピファネイア内で弱点となりやすい血をフォロー出来ている。さらに母方の血の中にStymieを持つので、サンデーサイレンスをクロスさせないとエピファネイア内で一番弱点となりやすい部分をカバー出来ているのが、当馬の配合の一番の長所かと。
ただ、サンデーサイレンスの中間断絶クロスからHail to Reason・Northern Dancer・Princequilloがその父母を含む形でクロスしている為、主導勢力が不明確なのが難点。
先日小倉芝1200mの新馬戦をデビュー勝ちしたが、血統的な見立てではマイル~2000mあたりが最も適しているように思える。それだけに、デビュー戦でなかなかの切れる脚とスピードを見せたのは、かなり先が楽しみとなる材料に思う。
マオノエピ ♀
母:アドマイヤラック
BMS:アドマイヤムーン
厩舎:黒岩陽一
馬主:湯浅健司
当馬は、祖母の父Be My Guestの血を全開にさせ、かつNorthern Dancer7・5×6・4の系列ぐるみが明確な主導勢力となったところが、最大の長所となる配合。
父母シーザリオ内Principiaに弱点が生じたのは残念だが、主導の明確さと血の結合の良さに加え、シーザリオの影響度数値が⑦とやや弱い点から、その弱点は軽微で済んでいるのではないかと推察したい。
サンデーサイレンス4×4の中間断絶クロスで血を纏め、Hail to Reason・Nashuaのクロスでスピード、Princequilloのクロスでスタミナを補い、それぞれが主導勢力のNorthern Dancerと結合を果たしているのは、なかなかの迫力を感じる。血統内で影響度数値が⑩と一番強く出た、祖母アドマイヤラピスの血の質の良さも魅力だ。
シャリン ♀
母:スターシンフォニー
BMS:アグネスタキオン
厩舎:不明
馬主:不明
先の傾向で述べたサンデーサイレンスのクロスを生じさせ、繁殖牝馬内でサンデーサイレンス以外にHaloを持つ馬の中で一番配合内容が良いと思われる馬が、このシャリン。
この配合の最大の特徴が、言わずもがなサンデーサイレンス4×3の系列ぐるみのクロスが明確な主導勢力となった点。
Roberto4×6の系列ぐるみのクロスもありやや近親度合いの高い配合ではあるが、なかなかの迫力を備えている配合だと思う。
Roberto4×6の系列ぐるみがスタミナ勢力として能力参加し、Le Fabuleux6×6で隠し味的にスタミナを補い、ややスタミナ優位な血統構成だと思われる。
ランスオブニンフ ♀
母:マイスクエアワン
BMS:Giant's Causeway
厩舎:不明
馬主:不明
Roberto4×5の系列ぐるみのクロスが明確な主導勢力となり全体をリードしているのが、この配合の強み。影響度数値が⑩と一番強い祖父シンボリクリスエス内で強く作用しているのも、能力を引き出す上で魅力的。
スピードはHalo5×6の系列ぐるみのクロスを中心に、Crimson SatanやBold Rulerのクロスで補い、スタミナはRarelea=Delta Queenが主導勢力Roberto内で直接働き、またPrincequilloとその仔SomethingroyalがNorthern Dancer7・5×5・4の中間断絶クロスを呼び水とした形で結合を果たしている。
全体的にスタミナが優位となる血統構成をしているように見えるので、エピファネイア産駒の中では中距離以上で走ってくる馬となるのではないかと推察される。
ディープハーモニー ♂
母:ユキノヴィーナス
BMS:グラスワンダー
厩舎:本田優
馬主:深見敏男
先の傾向で述べた、エピファネイアと相性が良いと思われる「Assert」の血を、母方の4代目に持つ馬。
主導勢力はRoberto4×4が明確で、その迫力はなかなかのものがある。
距離も、中距離~クラシックディスタンスに向くのではないかと思われる。
が、一番影響度数値が⑩と強いBMSグラスワンダー内のMatchicheⅡに弱点が生じてしまったのは、大きなマイナス点。
それ以外の点は特に減点材料もなく、主導勢力のRobertoに能力が集結する形を作れていたように見えるので、BMS内での弱点の派生が非常に惜しまれる。
カナワン ♀
母:プラチナジュエリー
BMS:ディープインパクト
厩舎:竹内正洋
馬主:由井健太郎
サンデーサイレンス4×3の中間断絶を呼び水として、父エピファネイアの主導勢力でもあったHail to Reason5・8・6・7×5を同じく主導勢力とし、BMSディープインパクトを強調したなかなか好バランスな配合。
血統内に弱点の派生もなく、父内での世代が古く弱点となりがちなPrincequilloの血も能力参加させていて、中距離に適性がありそうに思える内容。
だが、無難にまとまってはいるものの、これといった強調材料には欠く印象を否めない。馬主孝行的な競走馬となりそう。
ムゲンミライ ♂
母:ペニーブラック
BMS:Redoute's Choice
厩舎:森下淳平(大井)
馬主:山口裕介
当馬も、ディープハーモニーと同じく「Assert」の血を4代目に持つ馬。
血統内でAssertの血が4代目にある事から最も邪魔をしない形で、エピファネイア内での弱点の派生を抑え、Assertの血だけでは補えない弱点となりがちな祖父内5代目にあるPrincequilloも自身がクロス馬となり、その中のPapyrus-Tracery・Bayardoをクロスさせる事によって弱点を派生させないだけでなくスタミナ勢力として能力参加も果たせている。
ただ、BMSのRedoute's Choice内Bletchinglyに弱点を抱えてしまったのは、マイナス。
また、Hail to Reason5・8・6・7×6やNijinsky6×5やその父Northern Dancer7・5×5・6・6がともに5代目の位置となる前面でクロス馬となり、主導勢力が不明確となった事が、この配合の残念な点。
他にもサンデーサイレンス4×4や、Princequillo5・9・8・8×9・8・9やLe Fabuleux6×5が前面でクロス馬となり、より主導勢力の不明確さに加担しているように思う。